保護猫の”ありのまま”に出会える共存型カフェ
札幌市西区発寒に店を構える保護猫と珈琲 ネコトトモニは、猫を抱っこしたり遊んだりすることを前提としない、少し変わったスタイルのカフェとして営業している。ペットショップ出身の猫とは違い、保護猫たちは育った環境も性格もばらばらで、人懐っこい子もいれば、距離を保ったまま静かに過ごす子もいる。「保護猫達をもっと多くの人に知ってほしい」という想いが出発点にあり、猫がいる日常空間をそのまま開放するかたちで運営が続いている。触れ合える猫もいれば、姿すら見えないときもあるのが、このカフェのリアルな日常風景だ。
個人的には、猫との距離感を来店者に委ねず「猫側の気分に任せる」という設計が印象的だった。警戒心の強い猫には、保護猫活動に関わるスタッフが時間をかけて人馴れのトレーニングを施し、新しい飼い主へつなげていく流れが整っている。こうした猫たちの多様な反応に直接触れることで、保護猫への理解が自然と深まっていく。来店者が「猫カフェ」に抱くイメージとのギャップに驚くという声も少なくない。
カフェで過ごすだけで成り立つ保護猫支援のかたち
保護猫と珈琲 ネコトトモニが掲げるコンセプトは明快で、「Cafeで過ごす。たったこれだけで保護猫活動に参加できます」という一文に集約される。友人との会話、読書、仕事、編み物——来店者がそれぞれ自由に過ごすだけで、猫たちは「人がそばにいても怖くない」という感覚を少しずつ学んでいく。人に慣れていない猫は、爪切りや通院のたびに強いストレスを受け、飼い主側も鋭い爪や牙で怪我をするリスクを負う。触られることへの恐怖を和らげる過程が、猫の健康維持と飼い主の安全の両面で重要な意味を持っている。
実際にこのカフェへ通ううちに、最初は隠れていた猫がテーブルのそばまで来るようになった——そんなエピソードが利用者の間で共有されている場面もあるようだ。保護猫支援というと寄付やボランティアをイメージしがちだが、ここではカフェの売上自体が活動資金として循環する仕組みになっている。大げさな行動を起こさなくても参加できるからこそ、継続しやすいと感じる利用者も多い。
北海道産小麦のベーグルとスペシャルティコーヒー
看板メニューのベーグルには北海道産小麦「春よ恋」を100%使用し、天然酵母による長時間低温発酵で仕上げている。材料は小麦粉、きび砂糖、塩、天然酵母、水のみ。高タンパクでヘルシーな配合ながら、もっちりと弾力のある食感に仕上がっており、甘い系統と食事向けのしょっぱい系統が日替わりで並ぶ。健康志向の方や小さな子ども連れにも評判が良い。
コーヒーはコーヒースタンド「Cafukuya」のスペシャルティコーヒーを採用しており、浅煎りベースで常時数種類の豆を用意している。店主自身がコーヒーの苦味が苦手だった経験から選んだ銘柄で、ラインナップは定期的に入れ替わる。スイーツではよつ葉のクリームチーズをたっぷり使ったバスクチーズケーキや、米油で焼き上げたバナナブレッドが定番として並び、月替わりの限定メニューも登場する。
個人事業主として受ける里親探しの相談窓口
保護猫と珈琲 ネコトトモニは法人や団体ではなく、第一種動物取扱業の登録を受けた個人事業主としてカフェを運営している。大規模な保護施設やTNR活動に出向く体制は持っていないため、そうしたケースは保護猫団体への相談を案内するかたちをとっている。一方で、自宅で保護した猫や生活環境の変化で飼えなくなった猫については、メールやInstagramのDMで相談を受け付けている。引き取り後は店舗で適切なケアを施し、新しい家族とのマッチングへと進む流れだ。
すべての相談に応じられるわけではなく、状況次第でお断りとなる場合もあるという点は事前に知っておきたい。営業時間は店内利用が10時から18時(ラストオーダー17時30分)、テイクアウトは10時から19時まで。定休日は毎週月曜日と第1・第3火曜日で、所在地は札幌市西区発寒2条5丁目1-3 パナハイツルネージュ1F左。個人運営の規模感だからこそ、一件ごとの相談に丁寧に向き合える余地が残されている。


