和とビストロが交差する季節ごとの皿
京都市周辺の生産者から届く野菜や海鮮、肉を軸に、いちのはじまりは時季に応じてメニューを組み替えている。京湯豆腐やお造りといった和の定番から、原木の生ハムやボルケーノ風ポテトサラダまで一軒で揃う構成は、和食とビストロを掛け合わせた独自路線ならでは。地元食材を中心に仕入れることで鮮度を確保しつつ、地域の生産者との関係を維持するという考え方が根底にある。素材を活かした炭火焼きや煮物、自家製デザートまで、コース外の単品だけでも十分に一晩楽しめる品数が並ぶ。
個人的には、和食店でもフレンチ店でもない「どちらも頼める気楽さ」が印象的だった。刺身醤油のほかに九州の甘い醤油を常備しており、お造り盛り合わせを好みの味で食べ分けられる仕掛けも面白い。フレンチ寄りの皿を頼んだ直後に煮物へ戻る、という注文の自由度がこの店の空気をつくっている。お酒との相性を意識した味付けが通底しているため、ジャンルを横断しても食卓にまとまりが出る。
備長炭で仕上げる京鴨グリルの存在感
看板メニューの京鴨グリルは、締めたての国産京鴨を備長炭でじっくり火入れする工程を経て提供される。臭みを感じさせない柔らかな仕上がりで、炭火由来の香ばしさが鴨肉の脂と重なる一皿。自家製柚子胡椒と炭火焼き野菜が添えられ、ワンプレートで京都らしさを味わえる構成になっている。味と衛生面で厳格な基準をクリアした鴨肉だけを使用しているため、品質への信頼度は高い。
「鴨が苦手だったけれど、ここのグリルは別物だった」という声が口コミで目立つ。すっきりした後味と肉の柔らかさに驚いたというコメントも複数確認でき、リピーターの多さにつながっているようだ。日本酒にもワインにも合わせやすい味の設計で、ドリンク選びに迷う楽しさが生まれる。鴨料理の印象を変える一皿として、初訪問ならまず試してほしいメニュー。
京町屋を改装した店内と使い分けできる席構成
祇園四条駅から徒歩約3分。いちのはじまりは京町屋を改装した建物に入っており、木を基調にした店内は肩の力が抜けるトーンで統一されている。カウンター席は一人飲みでも気兼ねなく座れる距離感で、テーブル席は友人同士の集まりに向く配置。お座敷席も備えているため、家族連れや少人数の宴会まで対応幅が広い。
冬季限定で「離れ」と呼ばれる半個室にこたつが設置される。歓送迎会や同窓会、会社の打ち上げといった用途で利用されるケースが多いという。こたつに入りながらフレンチのコースを食べるという組み合わせは、京都でもなかなか見かけない。普段使いしやすい価格帯で揃えられている点も、常連が増える理由のひとつだろう。
飲み放題付きコースとドリンクの選択肢
焼酎、日本酒、ワイン、ビール、スパークリングに加え、珍しい銘柄まで飲み放題の対象に含まれている。全8品構成の「はじまりコース」は、おばんざいの盛り合わせに始まり海鮮と肉を経て〆まで付くボリュームで、迷ったときの選択肢として重宝されているようだ。京都産の食材を和食とフレンチ双方の技法で仕立てたコース内容は、幹事が一括で注文しやすい設計。オンライン予約にも対応しており、人数や利用シーンに合わせた段取りがスムーズに進む。
「日本酒もワインも同じテーブルで頼めるから、好みがバラバラなメンバーでも困らない」という感想を寄せる利用者は少なくない。料理ごとにペアリングを変える楽しみ方も自然にできる環境で、スタッフに相談すれば好みに近い一杯を提案してもらえる。飲み放題の枠内でも選択肢が狭まらない点は、宴会利用だけでなく少人数の飲み会でも満足度に直結している。


