世界を巡ったシェフの台所から生まれる一皿
フレンチとイタリアンで基礎を築いたシェフが、バックパッカーとして各国を渡り歩くなかで吸収した食の記憶を料理に落とし込んでいる。中東風モツ煮込み、レモングラスの香りをまとわせた白イカの姿煮といったメニューは、アジアや中東、ヨーロッパで出会った味覚の断片を再構成したもの。旬の素材を軸に仕込みから仕上げまで手を抜かず、一皿ごとに旅先での空気感まで詰め込む調理スタイルを貫いている。既存のジャンルに収まらない創作料理が、訪れるたびに新しい驚きを運んでくる。
「毎回メニューが違うから飽きない」「知らない国の料理なのに、どこか懐かしい」という声がSNS上でも目立つ。個人的には、シェフが旅の思い出を語りながら料理を出してくれるカウンターの空気感が印象的だった。次に何が出てくるのか分からないワクワク感は、メニュー表を眺めるだけでは伝わりにくい部分だろう。常連が繰り返し足を運ぶ理由も、そのあたりにありそうだ。
阿佐ヶ谷の裏路地に灯るカウンター12席の距離感
阿佐ヶ谷駅北口から歩いて約2分、裏路地にひっそりと看板を掲げるバル。木のぬくもりが残るカウンター席は12席で、シェフの手元を眺めながら過ごす時間は一人飲みにちょうどいい距離感を保っている。ハーフサイズの提供があるため、少量ずつ複数の料理を試せる構成になっている。照明を抑えたモダンな内装が、日常から少しだけ離れた気分を演出する。
テーブル席は最大16席を確保しており、女子会や記念日、貸切利用にも対応。メッセージプレートやサプライズの相談を受け付けているため、誕生日のディナーに使ったという来店客の投稿も見かける。カウンター越しに気さくに話しかけてくれる接客スタイルは、近隣住民がふらっと立ち寄るきっかけになっているようだ。退店時に「また来ますね」と声をかけたくなる雰囲気がある。
カールスバーグからドン・ペリニョンまで並ぶ酒棚の幅
クラフトビール各種にカールスバーグ、焼酎、クラフトジン、ハブ酒——ドリンクメニューの振れ幅はかなり広い。多国籍料理に合わせるために揃えたラインナップだけあって、スパイスの効いたカクテルや、赤・白・スパークリングのワインまで一通り網羅している。シェフ自身がペアリングの相談に乗ってくれるため、組み合わせに迷う時間すら楽しい。名物の煮込み料理にワインを合わせると止まらなくなるという声は、来店者の間でよく聞く話だ。
記念日やデートにはドン・ペリニョン、KRUGといったシャンパーニュも用意されている。普段使いのクラフトビールから特別な夜のための一本まで、同じ店内で選択肢が切り替わるのは便利だろう。料理のジャンルが毎回変わるぶん、合わせる酒も変わる。リピートするごとに異なるペアリングを試せる構造になっている点が、飲み手を飽きさせない仕掛けになっている。
深夜2時まで開く扉と気負わない価格帯
営業は水曜から日曜が深夜2時まで(ラストオーダー1時)、月曜のみ0時閉店で、火曜が定休日。終電後もゆっくり過ごせるため、二次会や仕事帰りの遅い時間帯にも選択肢として機能する。季節のカルパッチョやスパイシーチキンサラダなど冷菜メニューも揃い、軽く一杯だけという使い方も無理がない。
「この内容でこの値段はお得」と感じる利用者も多いらしく、カジュアルな洋風居酒屋としての立ち位置が定着している。清潔感のある店内は一人でも複数人でも居心地が良く、構えずに入れる空気が漂う。正直、阿佐ヶ谷界隈でこの時間帯まで多国籍料理を楽しめる店は限られるので、深夜の選択肢として覚えておいて損はない。

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