昼はコーヒー、夜は酒場——時間で切り替わる二毛作の一杯
ブレンド珈琲やウインナー珈琲といった王道メニューから、スパークリング珈琲や珈琲フロートのような遊び心のあるドリンクまで、喫茶&BAR 黒羊の昼の顔は想像以上に幅広い。水出し珈琲やアイスカフェオレなど冷たいメニューも揃い、紅茶やメロンソーダ、ジンジャーエールといったソフトドリンクも一通りカバーしている。夜になるとカウンターの空気は一変し、カシスやピーチのカクテル、麦焼酎・芋焼酎、テキーラやイエーガーのショットまで棚に並ぶ。ボトルキープに対応しているほか、120分の飲み放題と歌い放題がセットになったプランも用意されている。
フードは昔ながらのナポリタンやエビと卵のペペロンチーノ、生ハムのカルボナーラなどパスタだけでも5種類以上。1日3食限定の日替わり定食やベーカリーセットもあり、ランチ使いで通う人も少なくないという声が目立つ。梅酒やマリブといった甘めの酒類はお酒に強くない層にも好評で、瓶ビールやサワー系も揃っているため、グループで訪れても各自の好みで注文しやすい。おつまみメニューやご飯物も出しているので、二次会の会場として流れてくる使い方もされているようだ。
カラオケにSwitch、漫画棚——遊べる喫茶バーの実態
店内にはカラオケ機器とNintendo Switchが常設されており、珈琲一杯で何時間でも居座れる空気がある。カラオケは一人客でも気兼ねなく歌える環境で、歌い放題プランを使えば飲みながらマイクを握り続けることも可能だ。Switchのタイトルは複数用意されていて、友人同士で対戦しながら過ごす客もいる。漫画のコレクションもかなりの冊数が棚に並んでおり、珈琲や酒を片手にページをめくる時間は個人的にかなり贅沢だと感じた。
固定メニュー以外の食べ物が欲しいとき、リクエストすれば近隣店舗からのデリバリーや取り寄せで対応してくれる仕組みがある。「ピザが食べたい」と言えば手配してくれたという常連客の話もあり、この柔軟さはチェーン店にはまず望めない。飲食と遊びと会話がひとつの空間に同居しているため、2時間のつもりが4時間になっていた、と笑う利用者も多い。結果として長居しやすい店というのが、黒羊の一番わかりやすい性格かもしれない。
約20席のカウンター空間が生む距離感
喫茶&BAR 黒羊の座席数はおよそ20。カウンター席が中心で、スタッフとの物理的な距離が近いため、珈琲の好みや今日の気分を伝えるとその場でおすすめを出してくれる。テーブル席も数卓あり、読書目的の一人客や少人数の会話を楽しむグループがそれぞれのペースで過ごしている。BGMは控えめに設定されており、カウンター越しの雑談が途切れない程度の音量に調整されている。
「初めて来たのに常連みたいに話しかけてもらえた」という口コミは複数見かける。客同士が自然に言葉を交わす場面も珍しくなく、一人で来ても黙ったまま帰ることはあまりないらしい。この規模だからこそ生まれる空気感は、大箱の飲食店では再現しにくい。店主が韓国語を話せるため、韓国からの旅行者や在住者が言語を気にせず利用できる点も、新大久保エリアならではの客層を引き寄せている。
JR大久保駅徒歩1分、通うほど得するステッカー制度
JR大久保駅から徒歩約1分。新宿区の繁華街に位置しながら、昼はカフェ、夜はバーとして一日を通じて使い分けられる立地と営業形態を持つ。仕事帰りにふらっと寄る人、待ち合わせの時間調整に使う人、目的は様々だが駅前という条件がその気軽さを支えている。日中に珈琲を飲んだ客が、夜に別の顔を見に戻ってくるパターンもあるという。
来店ごとにステッカーが配布され、集めた枚数に応じておつまみ一品無料やショット一杯無料といった永続的な特典が受けられる。学生には学生割引も適用されるため、若い世代のリピーターが定着しやすい構造になっている。「ステッカーを貯めるために通っていたら、いつの間にか常連になっていた」と話す利用者もいて、この仕組みが来店動機のハードルを下げている印象を受ける。ポイントカードのように有効期限で失効しない点が、通い続ける理由になっているようだ。


